富士健康クラブ

[宇宙の不思議・いのちの不思議] 第31号


[宇宙の不思議・いのちの不思議] 第31号

第4章 いのちの不思議

[4-2] 脳の不思議

1.脳のはたらき

人間が他の生物と比べて突出している要因のひとつに脳の発達があります。
脳は、からだの内側からの情報、および外側からの様々な情報を集め、これらを分析し、判断し、それに基づいて臓器や手足に信号を送って適切な反応を指示します。脳は全身の司令塔の役割を担っています。さらに、認識・記憶・言語・思考・判断・計画・抑制など高度な情報処理能力を担当しています。

(1)人間の脳を部位で大別すると、大脳(外側)、小脳(後側)、脳幹(中心部)に分けることができ、いずれも主として神経細胞からできています。これは脊椎動物に共通な基本構造であり、違うのは脊椎動物の種類によりそれぞれの大きさが異なるだけです。
なお、 魚類、両生類、爬虫類では脳幹が脳の大部分を占めており、小脳、大脳は未発達です。

(2)大脳の表面は、大脳皮質と呼ばれており、「ニューロン」という神経細胞が密に集まっています。ニューロンは、脳内に約1,500億個程度も存在し、互いが複雑に接続し合ってネットワーク(回路)を構成しています。ニューロンは、電気的、化学的な作用によって情報を次々と伝達し、情報処理を行います。脳の主役は、神経細胞(ニューロン)のネットワークです。

(3)脳の表面を覆う大脳皮質は、たくさんの領域に分れており、領域によって担当する機能が異なるようです。
例えば、記憶に関する領域、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、体の感覚、運動、情動に関する領域などに分れています。

(4)上記の各領域とは別に、高度な情報処理を行う連合野と呼ばれる領域が知られています。「前頭連合野」では、思考・判断・計画・抑制などを、「頭頂連合野」では、感覚情報の統合を、「側頭連合野」では、認識・記憶・言語などを担当しているようです。
人間の前頭連合野は大脳皮質の約30%を占めますが、サルでは7%、イヌでも約7%、ネコは3%です。前頭連合野の発達が人間を人間らしくしていると考えられそうです。

(5)また大脳は、左脳と右脳に分れており、両者は「脳梁(のうりょう)」と呼ばれる神経の束で連結されています。左脳と右脳では、役割分担が微妙に異なるようです。
左脳が優位な能力として、言語能力、計算能力、論理的思考、抽象的な思考などがあります。
右脳が優位な能力としては、感覚総合能力、空間認知能力、直感的能力などがあります。
ただし、これらの配置は個人によって異なる場合があります。左利きの人の場合、上記と異なる例が若干多いようです。

(6)左脳と右脳は片側だけでは脳の総合機能を十分に発揮出来難いようです。左脳と右脳の間で適切な情報交換をしながら能力を発揮しています。したがって、左脳と右脳を結ぶ「脳梁」の働きはとても重要です。

(7)脳の重要な機能のひとつに記憶があります。仮に記憶機能が失われると、思考や正しい判断をすることはもちろん、視覚や聴覚などの外部情報を正しく認識することさえできなくなります。
記憶は2つに大別することができます。1つは、立ったり歩いたり、手で物をつかもうとしたり、食べようとしたりする運動機能に関わる記憶です。
2つ目は、人の顔や名前を覚えたり、言語を習得したり、様々な学問の知識を身に付けたりする認知性の記憶です。
これら運動性の記憶と認知性の記憶は、脳の別の部分で分担されています。
しかし、具体的にどのような仕組みで記憶が行われ、どのようにして思い出すことができるのか、具体的なメカニズムはほとんど未解明の状況です。
脳の構造は大分解かってきたのですが、記憶や思考などの具体的な仕組みは謎のままなのです。


<注目!>

(1)アインシュタインの死後の脳断面の写真によると、左脳と右脳を結ぶ脳梁が一般人に比べて相当太かったようです。またアインシュタインの前頭前野と呼ばれる高度な思考に関わる部分は、脳表面のしわが多く深く、かつ長く入り組んでいたようです。脳表面のしわの多さ深さは、ニューロンのネットワークの発達を示していると考えられています。

(2)天才でない一般人に対して行った実験があります。
ある方法で、右脳を活性化して、左脳を抑制すると、問題解決能力が大幅にアップするというものです。「ひらめき」を必要とするような新しい問題を解く場合も、右脳の働きが重要のようです。


<補足> 古脳と新脳

脊椎動物の脳を古脳と新脳に分類することもできます。
古脳は脳のいちばん内側にある脳幹とその直近外側の部分を言い、爬虫類の時代と原始哺乳類の時代に発達したと言われています。古脳は生命維持と種族保存など基本的な生命活動を担っています。具体的には呼吸、循環、摂食、消化、睡眠、恒常性維持、情動行動、本能行動などを担当します。
新脳は哺乳類時代に急激に発達し、古脳を覆う形で大きく進化を続けました。新脳は記憶、計算、学習、言語など高度機能を担い、環境や社会への適応行動を起し、さらに創造的かつ高能率な行動を展開してきています。


2.様々な天才

(1)普通の人がとてもまねのできない能力を持ち、その能力が社会に認められた方々は「天才」と呼ばれています。
レオナルド・ダ・ヴィンチ、ニュートン、モーツアルト、エジソン、アインシュタインなどは代表的な天才と言われています。私は平安時代の弘法大師「空海」も大天才だったと考えています。
天才は大きな業績を残して有名になりますが、天才の数は多くありません。そして天才の能力がどのようにして発揮されるのかも良く解かっていません。
一般人でも夢を見ている時、あるいはそれに近い状態の時に「ひらめく」ことが比較的に多いようです。しかし何故そうなるのかは良く分かっていません。

(2)一方、ほとんど名前も知られていない方々で特異な能力を発揮する方が多くいます。
全般的には普通またはそれ以下の能力しか持たない人の中で、一面において驚異的な能力を持つ人は「サヴァン」と呼ばれています。優れた能力を持つ人という意味合いです。不思議なことに、頭部の怪我などによって脳に障害を持つ人や、自閉症患者に比較的多いと言われています。
サヴァンの能力は自閉症患者の10人にひとり,脳損傷患者あるいは知的障害者の2000人にひとりの割合でみられるようです。そして、しばしばテレビ番組で取上げられたり、映画のモデルになったりしています。 

(3)「サヴァン」の能力は、その人によって得意な能力が異なります。

◎一瞬見ただけの景色を、家に帰宅してから驚くほど細部まで精密に再現して絵に描く能力
◎厚い本を短時間でまるまる丸暗記できる能力
◎数百年離れた過去や未来のある日の曜日を一瞬で答える能力
◎日常生活では不都合が多いのに数カ国語を自由に操る天才的語学能力
◎オーケストラの作曲という複雑な作業を頭の中だけで構築し、完成してから譜面に書き起こす能力
◎一度耳にした音楽を細部まで記憶し、その何千にも及ぶレパートリーの中から特定の曲を瞬時に正確に再現する能力。さらに、それらを異なるキー(調)でピアノ演奏し、あるいはアレンジを加えて変奏する能力

(4)上記の多くの能力は、見方、聞き方、計算方法、覚え方が常人と全く異なるようです。まるで写真を撮るように瞬間的に大量に情報を取り入れたり計算したりしています。そしてそれを瞬間的、無意識的に記憶しているようです。

(5)左脳に障害がある場合、それをカバーするために右脳がより活性化されたことが一因であるという仮説があります。また、通常の記憶経路ではなく、大脳の内側にある進化的に古い脳(大脳基底核や小脳)で記憶しているという仮説もあります。
また、いわゆる「直感」も古脳が関与しているという説があります。しかし全貌は謎のままです。

(6)映画「レインマン」で、ダスティン・ホフマン演じる主人公のモデルとなったキム・ピークは、先天性脳障害のため父親の介護を必要とする生活を送っていました。しかし直感像による記憶能力を持ち、9000冊以上にも上る本の内容を丸暗記でき、また人が生年月日を言えばそれが何曜日であるか即座に答えることができました。

(7)映画「裸の大将」のモデル「山下清」は、学校での勉強についていけませんでしたが、驚異的な映像記憶力の持ち主でした。「花火」「桜島」など行く先々で見た風景を瞬間的に記憶し、多くのちぎり絵などに残しています。しかし、旅先ではほとんど絵を描くことがなく、家に帰ってから記憶をもとに描いたようです。


天才やサヴァンの人々の特異な能力が、どのような仕組みで発揮されるのか詳細はほとんど解かっていません。
それどころか人間の脳は全体の1割程度しか解明されていないとも言われています。
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by jiriki-tachikawa | 2015-02-26 00:00 | 不思議メールマガジン

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