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[宇宙の不思議・いのちの不思議]  第13号


[宇宙の不思議・いのちの不思議]  第13号


第2章 ミクロの世界の不思議

[2-2] 物質の根源は?   

1.物質の根源は原子?

万物の根源については、古代から多くの哲人によって思索が続けられてきました。ギリシャ時代のプラトンやアリストテレスの哲学は、後世の西欧文明に多大な影響を与えました。そのアリストテレスは、四大元素説を唱え、万物は「火、空気、水、土」から成ると考え、また霊魂について論じています。

デモクリトスは、同じギリシャ時代に既に「原子」(アトム)という概念を論じていますが、当時としては斬新過ぎて受け入れらなかったようです。

時が経ち19世紀後半から20世紀前半にかけて、万物の根源が少しずつ解かり始めてきました。分子や原子などです。
私が小学校のころ1950年前後の一般の本には、全ての物質は「原子」で出来ていると載っていました。さらに、「原子」は、中心に位置する原子核と、その周囲を飛び回る電子から構成され、原子核は陽子と中性子から構成されると書いてありました。
すなわち万物は、「陽子と中性子と電子」のたった3種類の基本粒子から構成されていることになります。極めて単純で明快で美しい理論でした。

そして原子の中の陽子の数に対応して元素名がつけられました。陽子1個の原子は水素、陽子2個の原子はヘリウム、・・・6個なら炭素、7個なら窒素、8個なら酸素、・・・、陽子92個ならウラン、などです。


2.クォークの登場

(1)20世紀半ばを過ぎると、宇宙線の観測や、人工的な粒子加速器実験によって、陽子や中性子や電子以外にも様々な微小粒子が発見されるようになりました。

(2)そして1960年代になると、陽子や中性子は素粒子ではなく、それ自体が複数の別の粒子から構成されていることが判ってきました。その別の粒子は「クォーク」と呼ばれており、6種類のクォークが発見されています。クォークが6種類あることを予言したのは、前述の小林誠博士、益川敏英博士です。

(3)陽子も中性子も3個のクォークから構成されていることが判ってきました。陽子は2個のアップクォークと1個のダウンクォークから構成され、中性子は1個のアップクォークと2個のダウンクォークから構成されています。

(4)走査型電子顕微鏡を使うと原子の配列を見ることができますが、原子1個だけを見ることはできません。当然、原子の中の原子核や電子を見ることはできません。ましてや、原子核の中で3個のクォークが結びついている様子を実際に見た人は誰ひとりいません。量子論に限らず科学は、その時点における仮説の集合に過ぎません。


3.素粒子の標準モデル

これ以上砕くことができない微粒子、すなわち物質を構成する最も基本的な粒子を「素粒子」と呼びますが、素粒子の候補は今までに多数発見されています。そしてこれらを整理・分類した「標準モデル」と呼ばれる素粒子リストがあります。これが現代における「万物の根源」に相当することになります。ただし、残念ながら今まだ現在進行形です。言い換えると、21世紀の現代においても、万物の根源は完全に解明されてはいないのです。

素粒子の「標準モデル」を大別すると、物質を構成する素粒子12種類と、力を伝達する素粒子4種類、そして質量を生み出す素粒子1種類に分類されます。


[素粒子の標準モデル]

(1)物質を構成する素粒子 
1.1クォークの仲間:  6種類(アップクォーク、
ダウンクォークなど)
 1.2電子の仲間:    3種類
 1.3ニュートリノの仲間:3種類

(2)力を伝達する素粒子
 2.1電磁気力を伝える素粒子: 光子(フォトン)
 2.2弱い核力を伝える素粒子: ウィークボソン
 2.3強い核力を伝える素粒子: グルーオン
 2.4重力を伝える素粒子:   重力子(未発見)

(3)万物に質量をあたえる素粒子
 3.1ヒッグス粒子: 2013年に発見されたばかりです。

以上の素粒子を合計すると17種類になります。しかし、これらは基本の素粒子であり、これらの他に反粒子と呼ばれる影武者的な素粒子もあります。
以下、順番に簡単な説明を加えます。


4.物質を構成する素粒子   

(1)物質を構成する素粒子は全部で12種類ありますが、その中の主役はクォークと電子です。原子核は陽子と中性子で構成されますが、両方ともクォークで出来ています。結局、物質はクォークと電子で構成されていることになります。その他の素粒子のほとんどは寿命が短いため、永く存在できません。粒子加速器実験や宇宙での衝突によって短時間だけ現われ直ぐに消えてしまいます。

(2)ニュートリノは、太陽はじめ様々な天体から常時大量に放出されていますが、極微のため人体も地球もすり抜けてしまいます。当初、重さゼロと考えられていましたが、最近僅かに重さがあることが判ってきました。地球上では、太陽からのニュートリノだけでも毎秒660億個ほど通り抜けているという計算結果もあります。
放射性物質が、ベータ線を出して崩壊するときにも、一緒にニュートリノが放出されます。


5.力を伝達する素粒子 

素粒子が存在しても、それらに「力」が作用しなければ、素粒子どうしが集まって原子核や原子などの物質を構成することができません。
自然界には様々な力が働いていますが、整理すると以下のたった4種類の力だけになると言われています。
(1)電磁気力
(2)弱い核力
(3)強い核力
(4)重力

普段私たちが実感できる力は、(1)電磁気力と(4)重力だけです。(2)弱い核力と(3)強い核力は、原子核の内部だけで働く力なので、私たちが直接感じることはできません。

力を伝達する素粒子というのはイメージが湧き難いかと思います。素粒子の「標準理論」は、これらの力が発生するしくみを説明しています。これらの力は、それぞれに対応した「力を伝達する素粒子をやりとり」(キャッチボール)することによって生ずると考えます。なお、力=相互作用と考えます。
「力を伝達する素粒子の授受」によって粒子間に働く力を説明したのは、1934年の湯川秀樹博士の「核力」の理論から始まりました。


(1)電磁気力

(a)電磁気力は原子や分子を形作る重要な力です。プラス電気を帯びる原子核と、マイナス電気を持つ電子が、電気的にバランスすることによって原子が成立します。

(b)朝永信一郎博士は、電磁気力を光子(フォトン)の授受で説明する理論により、1965年ノーベル物理学賞を受賞しています。
電磁気力は、電気と磁気による相互作用です。例えば、+の電気と-の電気の間に引力が働きますね。+と+、-と-の電気の間には反発力が働きます。これらは相互作用すなわち力です。

(c)電気の実体は電子です。電子は絶えず表面で光子を出し入れしていると考えます。電子Aの近くにたまたま電子Bがいたときに、電子Aの出した光子を電子Bが受け取ると、作用反作用によってA~B間に反発力が働きます。

(d)例えば、滑らかな氷上で2人が向き合ってキャッチボールをしているとします。ピッチャーが球を投げると、反作用によってピッチャーはボールと反対方向へ僅かですが後退します。キャッチャーが球を受け取るとキャッチャーも僅かに後退する筈です。ボールの授受をすると、作用反作用の法則によって結果的にお互いが遠ざかります。すなわち、ピッチャーとキャッチャーの間に反発力が働いたことになります。

(e)2個の電子同士でも同じです。双方で光子の授受があれば反発力が生じます。電子同士が接近するほど光子の授受が増えるので反発力も大きくなります。

(2)弱い核力

原子の崩壊を引き起こす力です。その強さは電磁気力の1000分の1ほどです。
不安定な原子(放射性物質)は、弱い核力によって自ら崩壊して、放射線(ベータ線とニュートリノ)を出します。福島第一原発事故で話題になったセシウム137なども放射性物質であり、弱い核力によって絶えず放射線を放出しています。

(3)強い核力

陽子や中性子などの中で、クォーク同士に働いている力を強い核力と呼んでいます。電磁気力の100倍ほどの強さです。
原子核の中でプラス電気をもつ陽子や中性子がバラバラにならずに原子核が維持されていることは以前から大きな謎でした。湯川秀樹博士はその理由を、「中間子」の授受による「核力」によって説明し、中間子の存在を予言しました。そして1947年、宇宙線の中から実際にパイ中間子が発見され、1949年日本人で初めてノーベル賞(物理学賞)を受賞しました。

(4)重力

重力を量子論によって説明しようと長年努力が続けられてきましたが成功していません。重力は量子論の範囲外に留まっています。取り敢えず重力を伝える素粒子を「重力子」(グラビトン)と呼んでいますが実際には未観測、未発見です。


6.ヒッグス粒子

ヒッグス粒子は、宇宙空間のいたるところに満ちており、物質の重さ(質量)を生み出す源と考えられています。素粒子が移動する際にヒッグス粒子と頻繁に衝突するために抵抗を受けて動きにくくなります。その抵抗がその素粒子の質量になると考えられています。


<トピックス>

ヒッグス粒子は、1964年にピーターヒッグス博士らによって仮説として提唱されました。2012年7月、実験によって「ヒッグス粒子と見られる新粒子が発見された!」との第1報が報じられました。その後データ集積と慎重な確認作業が続けられヒッグス粒子の存在が確認されました。2013年秋、異例のスピードでヒッグス博士らにノーベル物理学賞が贈られました。
なお、ヒッグス博士らの仮説は、南部陽一郎博士の「自発的対称性の破れ」という重要な理論がその大元になっています。


<私見>

私は、自然界に働く「力」は4つだけではないと考えています。物理学の専門家でもない者が何を言うのかと驚かれると思いますが、物理学者がこの宇宙の全てを知り、感じ、思索しているわけではないと思います。

私は5番目の力として、「意識によって生ずる力」があると思っています。この力は「気(エネルギー)」と大きく関わっています。意識は気(エネルギー)を伴うと考えています。そう考えないと説明できない事象がとても多いからです。第5章であらためてご説明する予定です。



# by jiriki-tachikawa | 2014-06-19 00:00 | 不思議メールマガジン

[宇宙の不思議・いのちの不思議]  第12号


[宇宙の不思議・いのちの不思議]  第12号

第2章 ミクロの世界の不思議

[2-1] 量子論とは?

(1)原子より小さなミクロの世界を探求する物理学を「量子論」と呼んでいます。量子力学と呼ばれることもあります。量子とは、極微のツブ(かたまり)という意味あいです。原子以下の小さな粒子を量子と呼んでいます。原子や電子や素粒子などが量子です。
素粒子とは、それ以上分解できない粒子のことを言います。電子をさらに細かく分解することはできないので電子も素粒子のひとつです。

(2)量子論は、相対性理論と並んで、現代物理学の双璧といわれており、最重要な理論といってよいと思います。
相対性理論は、我々の感覚や常識から懸け離れたところがあって理解し難い理論ですが、量子論はさらに輪をかけて解かり難い理論です。ミクロの世界にはそれだけ不思議が満ちているということでもあります。
アインシュタインでさえ量子論について悩み続けたと言われています。したがってここでは超簡単にあらましだけを述べていきます。

(3)量子論には、柱になるいくつかの重要な理論があり、それらをまとめて「標準理論」と呼んでいます。本メールマガジンではその中身の説明は省略し、それらの結果を簡単にご紹介いたします。

(4)量子論によって、万物の根源が解き明かされつつあります。そして「物質」を構成する素粒子がいくつも発見されてきています。電子や光子もそれらの一つです。
また、物質の内部や、物質どうしの間に働く「力」の根源も解き明かされつつあります。電磁気力もその一つです。

(5)私たちが生活する上でのスケールは、長さでいえば、cm、m、kmで測れる長さが普通かと思います。重さでいえば、g、kg、ton などではないでようか。
私たちは、これら中程度のスケールの中で暮らし、そのスケールでの感覚と常識が積み重なって生きています。

(6)一方、宇宙を考える場合の距離のスケールは、桁外れに巨大なスケール「光年」が使われます。1光年は、光の速度で1年かかる距離、約9.46x10の15乗mです。15乗は、数字の後に0を15個付け足すことを意味します。
また、原子以下の小さなミクロの世界では、10のマイナス15乗mとかマイナス30乗mとか桁外れに小さな極微のスケールになってしまい、私たちの感覚と常識から懸け離れています。

(7)巨大スケールと中程度スケールの物理学では、相対性理論が使用され、極微スケールでは、量子論が使われます。なお、中程度のスケールでは、ニュートン力学が簡単で使い易いため、実用上誤差が気にならない範囲で多用されています。

(8)本来は、スケールによって理論を使い分けるのではなく、全てのスケールをカバーする「究極の理論」の構築が必要であり、現代物理学の大きな目標になっています。
なお、巨大スケールや中程度スケールにおいても、物質は全て原子や素粒子でできていますから、量子論は全てのスケールで成り立つ必要があります。

(9)原子の構造は、太陽と惑星の関係のように、中心の原子核の周囲を電子がくるくると周回しているイメージをお持ちの方が多いと思います。昔は学校でそのように習いました。しかし量子論の成果によると、電子は原子核の周囲に拡がる波であって、球状の雲のように拡がって振動しています。電子そのものを見ることはできません。
そしてその波を表す「波動方程式」を解くことによって原子や分子の性質や構造を正確に計算することができます。

(10)コンピュータやスマートフォンなどに不可欠な半導体などは量子論の成果を応用して著しく進歩してきました。
また、医薬品、化粧品、繊維など様々な化学製品の研究・解析・開発に量子論が大いに役立っています。膨大な費用をかけて沢山の数の実験をしなくても、量子論に基づいた計算から、様々な分子どうしがどのような反応を起こすのか予測できるようになってきました。

(11)量子論の原理を応用した「量子コンピュータ」の研究が行われています。実用化には時間がかかりますが、現在最先端のスーパーコンピューでも何億年もかかる計算をあっという間に解ける可能性があると言われています。


<注目!>

量子論の分野では日本人科学者が大活躍をしています。
量子論を切り拓いてきたといっても過言ではありません。
事実、この分野で多数のノーベル賞受賞者を輩出しています。
ノーベル物理学賞を受賞した科学者として、湯川秀樹博士、朝永振一郎博士、江崎玲於奈博士、小柴昌俊博士、南部陽一郎博士、小林誠博士、益川敏英博士などです。また福井謙一博士は、量子化学の分野でノーベル化学賞を受賞しています。もちろんノーベル賞受賞者以外にも多くの優秀な日本人研究者が世界中で活躍しています。


<補足>

原子の大きさは、1000万分の1mm程度です。その中の原子核の大きさは、その5桁下であり、1兆分の1mm程度です。なお電子の大きさは、さらに4桁下の大きさです。

原子を地球の大きさに例えると、原子核は東京ドーム程度、電子は野球のボール程度の大きさに相当します。実際には電子は見えません。電子の波が振動しながら地球サイズに拡がっています。原子の中はスカスカの状態であり、空間(原子の場)がほとんどを占めています。

スカスカな筈なのに石や金属に触ると固く感じるのは、物の表面の原子が反発するからです。原子の外側はマイナスの電気を帯びた電子の雲で覆われているので、お互いにマイナス電気で反発することによって跳ね返され固く感じると考えられています。



# by jiriki-tachikawa | 2014-06-05 07:30 | 不思議メールマガジン

[宇宙の不思議・いのちの不思議]   第11号 


[宇宙の不思議・いのちの不思議]   第11号 

第1章 宇宙の不思議

[1-9] ダークエネルギーの不思議

1.ダークエネルギーとは?

(1)20世紀前半のハッブルらの発見以来、宇宙が膨張していることは知られていました。ところが近年になって驚くべき事実が判明しました。遠方の銀河を精密に観測することによって、宇宙の膨張は加速度的にますます膨張していることが判りました。そして異なる他の方法で調べても、やはり宇宙は加速度的に膨張していることが確認されました。1998年、わずか10数年前のことです。

(2)それまでは、宇宙は膨張していても次第に膨張速度が弱まり、やがて平衡するか、あるいは緩やかな収縮に向かうのでは、と考えられていました。ところが宇宙が膨張する速度は、年月の経過とともに大きくなっているわけです。

(3)それを説明するためには、星や銀河や銀河団が相互におよぼす引力(重力)に対抗して、宇宙を加速度的に膨張させ得る巨大なエネルギーが必要になります。しかしその実態は全く不明であるため「ダークエネルギー」(暗黒エネルギー)と呼ばれています。

(4)現在の宇宙では、星や銀河や銀河団などを構成する全ての物質を集めても、物質合計は宇宙全体の4.9%しかないことが判っています。残りはダークマターとダークエネルギーで95.1%を占めており、未知の物質と未知のエネルギーがほとんどを占めていることになります。宇宙は未知だらけ、謎だらけなのです。
 
       [宇宙の構成比率]
   ○物質合計            4.9%
   ○ダークマター(未知)    26.8%
   ○ダークエネルギー(未知) 68.3%

(5)ダークマターとダークエネルギーは何が違うのでしょうか? 
ダークマターは重力作用を及ぼすので「物質」です。ただしどのような物質なのかが不明です。物質を細かく分解していくと、これ以上分解できない素粒子に行きつきます。素粒子にも沢山の種類があります。また、理論的に存在が予言されているだけで実際に発見されていない素粒子もあります。恐らくそれらのどれかではないかと考えられています。

一方、ダークエネルギーは物質ではなく「エネルギー」です。形がありませんから観測が格段と難しいのです。
また、ダークマターは質量に応じた「引力」を作用させますが、ダークエネルギーは反対に「斥力」(反発力、反重力)を及ぼすと考えられます。


2.ダークエネルギーの正体は何か?

ダークマターの場合は、未知ながらも一応2~3の候補があります。
しかしダークエネルギーの場合は、全く正体不明な状態です。ダークエネルギーは恐らく宇宙空間に均一に拡がっていると考えられていますが、その実体は何も解かっていません。現代科学における最大の不思議といっても良いと思います。


<私見>

(1)宇宙に関して、アインシュタインをはじめ、ほとんどの科学者の関心は、物質やエネルギーと、それらに関する様々な現象に向けられています。惑星や恒星、銀河や銀河団などの物質、そしてそれらの入れ物である宇宙の拡がりや成り立ちなどに関心が集中しています。

(2)しかし、大変大事なことが忘れ去られています。宇宙は物質やエネルギーだけで構成されているわけではありません。私は、人間をはじめとする生命体が宇宙の重要な構成要素であり、人間にとっては、それらによる様々な現象、そしてそれらと物質との関わりが、より重要であると考えています。

(3)劇場に例えると、物質だけの宇宙は劇場のハードウェア、すなわち建物と舞台装置に過ぎず、本当の主役は生命体すなわち人間(役者、スタッフ、観客、そして制作者)であると考えることができます。主役を無視して舞台装置だけに注力しても「お芝居」になりません。

(4)人間には「心や気やいのち」が深く関わっています。それらが人間をして人間たらしめていると言って良いと思います。しかし多くの科学者は、それらに目を向けません。我関せずと放置しています。全く無関心の科学者も多くいます。見えないし、観測が難しく、歯が立たないのです。
後の章で述べますが、「心や気やいのち」は物質に作用を及ぼすことがあると私は考えています。

(5)宇宙空間からガスやチリや全ての物質を取除いた空間を「真空」といっています。
私は、真空も実は空っぽではなく、「根源のエネルギー」で満たされていると考えています。すなわち宇宙空間は「根源のエネルギー」の働く場であると考えています。

(6)そして、ダークエネルギーも、ダークマターも根源のエネルギーと密接に関係していると考えています。

(7)さらに、根源のエネルギーは3次元空間に留まらず、高次元空間に拡がっていると考えています。そして「心や気やいのち」と密接に関わっていると考えています。なお、根源のエネルギーは、日本ではしばしば「気」という言葉で表現されています。

(8)残念ながら現在の宇宙論のほとんどは物質レベルに留まり、「心や気やいのち」を考慮に入れていません。したがって数々の「不思議」が未解決のままに残っています。相対性理論も、対象を物質とそのエネルギーと空間だけに限定した狭い理論であると私は感じています。



「第1章 宇宙の不思議」 はここまでに留めたいと思います。科学が進歩しているとは言っても、不思議がまだまだ一杯残っていることをご理解して頂ければ十分です。
その中で特に重要な、ブラックホール、ダークマター、ダークエネルギーなどにスポットをあててご説明してきました。他にも、宇宙の始まりはどうだったのか? 宇宙の最後はどうなるのか? 地球外生命体はいるのか? などなど不思議や謎は無数にあります。紙数に余裕があれば後の章で触れたいと思っています。


なお、<私見>と題した部分は、私自身の個人的見解を一部挿入しました。私見に関しては、第5章 宇宙のしくみ -仮説- において、あらためてまとめてご説明する予定です。

次回は第2章に進みます。
第1章では宇宙などマクロな世界を対象にしましたが、第2章では、逆にミクロの世界を概観していきます。構成は下記を予定しています。


第2章 ミクロの世界の不思議

[2-1] 量子論とは?
[2-2] 物質の根源は?
[2-3] 素粒子の影武者
[2-4] 量子論のポイント
[2-5] 超ひも理論とは?
[2-6] ミクロの世界の不思議 



# by jiriki-tachikawa | 2014-05-22 00:00 | 不思議メールマガジン

[[宇宙の不思議・いのちの不思議]   第10号 


[宇宙の不思議・いのちの不思議]   第10号 

第1章 宇宙の不思議

[1-8] ダークマターの不思議

1.ダークマターの存在理由

宇宙には、未知の物質が大量に存在していると考えられています。未知の物質なので「ダークマター」(暗黒物質)と呼ばれています。

銀河や銀河団の動きを詳細に観測すると、ダークマターを想定しない限り説明できない現象が複数あるからです。

(1)太陽系の惑星の公転速度は、太陽に近い惑星(水星、金星など)は速く、遠い惑星(天王星、海王星)ほど遅くゆっくり動いています。ケプラーの法則として知られています。簡単に言えば、太陽系の質量の大半は太陽に集中しているからです。太陽に近い惑星には巨大な太陽の重力が作用するので、速く動いて遠心力を大きくしないと引力とのバランスが取れないからです。

ところが、銀河を構成する星の動きは、銀河の中心に近い星も、遠く離れた星もほとんど変わらない速度で動いていることが発見されました。それを説明するためには、銀河全体を取り囲むように大きな質量が分布している必要があります。しかし見える銀河の星々の総重量では全く不足しています。すなわち、見えない未知の物質が銀河周辺に大量に存在すると考えられます。

(2)一方、銀河が多数集まって銀河団が構成されていますが、銀河団としてまとまるためには強力な重力が必要です。重力が足りないと、個々の銀河はそれぞれの運動によってバラバラに離散してしまいます。離散せずに銀河団としてまとまりを維持するためには、銀河団全体を取り囲むように大きな質量が分布している必要があります。
しかし実際に銀河団に含まれる全ての銀河の総重量を計算しても、各銀河を留めるのに必要な量よりも遥かに質量が不足していることが判っています。すなわち、見えない未知の物質が銀河団周辺に大量に存在すると考えられます。

(3)以上のように、銀河自体の回転運動や、銀河団としてのまとまりの維持を説明するためには、銀河や銀河団それぞれを取り囲むように、未知の質量、すなわちダークマターが大量に存在していると考えざるを得ません。

2.ダークマターの量

(1)ダークマターの質量を推定計算すると、宇宙に存在する既知の物質総重量のなんと5倍ほどの質量になります。重量を生み出すので、物質の仲間であるのは間違いないのですが、分子や原子ではなく、その実態は不明です。

(2)私たちの宇宙には、未知のものが5倍もあり、その実態が解かっていないということになります。次節で述べますが、実はダークマター以外にも未知のものが更に多く存在しており、既知の物質は、宇宙全体の僅か5%に過ぎないことが判っています。
宇宙の95%は未知なのです。

(3)なお、最近になって実際の銀河団内のダークマターの分布状況が判ってきています。見えないため直接ダークマターを観測することはできないのですが、大きな質量を持つため「重力レンズ効果」を引き起こします。その影響を丹念に調べることによって、間接的に質量の拡がりや分布状況や密度が判ってきました。
そしてダークマターの粗密と、銀河の分布の粗密が対応していることが判ってきました。すなわち、ダークマターが密な領域には、銀河が密に存在しているのです。

(4)もし、ダークマターが存在しなかったら、今のような宇宙は形成されなかったかも知れません。大量に存在したダークマターの分布のムラによって重力の粗密ができ、それによって物質の集散が進み、次第に星が形成されていったと考えられます。ダークマターの大きな質量とそのムラがあったからこそ、現在の星や銀河や銀河団が成立できたと考えられています。


3.ダークマターの正体は何か?

(1)ダークマターとは未知の物質という意味合いです。何故未知なのか? 見えないからです。直接観測できないからです。

(2)宇宙に浮かぶ普通の天体は、光や赤外線や電波や紫外線やX線などのいずれかを出しています。しかしダークマターはこれらを出さないため直接観測できないのです。

(3)では、ダークマターの正体は何でしょうか?
ダークマターの候補として下記が挙げられてきました。
・原子
・ブラックホール
・暗い天体(宇宙空間を漂うガス、チリ、岩石など)
・恒星の残骸(褐色矮星、中性子星など)
・ニュートリノ

(4)しかし上記はいずれもダークマターの候補から外されました。様々な状況証拠から「ダークマターとしての必要条件」を満足できなかったからです。


4.ダークマターの必要条件

(1)今までの観測結果から得られたダークマターとしての必要条件は下記の通りです。

〇どんな種類の電磁波(光)も出さない。
〇どんな物質ともぶつからない。
〇宇宙における総重量が、見える全物質の約5倍存在する。
〇宇宙初期に速度ゼロの冷たい物質であった。

(2)現在のところダークマターの正体は不明です。
ただし可能性のある候補として下記の2つが上がっています。

◎ニュートラリーノ:光子などの超対称性粒子
(未発見)
◎アクシオン(未発見)

両方とも素粒子ですが、理論的に存在が予想されているだけで実際に発見されているわけではありません。ダークマターの正体は謎に包まれているのです。
なお、超対称性粒子については、2章で簡単にご説明します。


<私見>

ダークマターに関しては、いずれ遠からずその正体が判明すると私は思っています。物質であることは間違いありませんし、その候補も絞られていますから、発見し易いと考えられます。
もう一つ、世界中の研究者がしのぎを屑って発見競争を繰り広げているからです。昨年までは 多くの科学者がヒッグス粒子(物質に質量を生じさせる原因粒子)の発見に注力してきました。しかし2012年~2013年秋にヒッグス粒子が発見されて以降、研究者の眼がダークマター発見に向けられています。
具体的に発見できればノーベル賞の可能性が極めて高いと思われます。



# by jiriki-tachikawa | 2014-05-08 00:00 | 不思議メールマガジン

[宇宙の不思議・いのちの不思議]  第8号


[宇宙の不思議・いのちの不思議]  第8号 

第1章 宇宙の不思


[1-6] ブラックホールの不思議

ブラックホールという言葉を聞いたことのある方は多いと思います。光さえ飲み込んで、引き込まれたら二度と出られない、そんなイメージではないでしょうか?

1.ブラックホールとは?

(1)実はブラックホールは、アインシュタインの一般相対性理論から理論的に導かれます。ドイツのカール・シュバルツシルト という天文学者が、1916年、一般相対性理論の方程式を初めて解きました。彼は、その解を基にしてブラックホールの存在を予言しました。

(2)簡単に言えばブラックホールも星の一種です。普通の星は重力と膨張力が釣り合っているので球体を維持しています。ところが強過ぎる重力を持つと星自体が自らの重力に耐え切れず、崩壊を起こしてどんどん小さくなり収縮してしまうのです。最終的に極めて小さな体積に収縮し、かつ莫大な重力を持つ星、すなわちブラックホールになってしまいます。

(3)ブラックホールの恐ろしい重力は、周囲の全ての物質、そして光すら飲み込んでしまいます。したがって外からは全く見ることができません。近づくと誰もその重力から逃れられません。宇宙空間の落し穴です。おまけに飲み込まれた後どうなるのか、中の様子はどうなのか解かりません。ブラックホールは未知の天体なのです。

(4)ブラックホールは周囲の全てを吸い込んで、どんどん重くなって成長していきます。ブラックホール自身の最後はどうなるのか、良く解かっていません。
この宇宙の最後は、ブラックホールだらけになってしまうのではと心配する人もいます。一方、ブラックホールは、時間の経過とともにいずれは蒸発してしまうという科学者もいます。まだまだ未知なのです。


2.ブラックホールの中心は?

(1)理論上、ブラックホールの中心点は無限に小さく収縮するため、密度は逆に無限大になり、相対性理論のアインシュタイン方程式が破綻してしまいます。「特異点」と呼ばれています。

(2)その密度は1cm³あたり200億トンとも言われる超高密度状態になります。
ちなみに太陽の密度は1cm³あたり1グラム程度です。

(3)実際には、普通サイズのブラックホールの場合、質量は太陽の5~15倍、半径は15~45km程度と予想されています。

(4)その手前には「事象の地平面」と呼ばれる境界面があり、ここを越えてしまうとすべてのものは中心部へ引きずり込まれてしまい、二度と外へ脱出できなくなります。

将来、宇宙旅行に出掛ける時は、ブラックホールの落し穴に落ちないように注意しましょう。
「危険!」の標識はありません!


3.ブラックホールはいくつあるの?

(1)実際にはブラックホールを直接見ることは出来ません。しかしその強力な重力で周囲の空間を大きく歪めるため、背後にある銀河や星雲などが歪んで見えることがあり、間接的にブラックホールの存在を予想できます。

(2)ブラックホールの近傍に天体がある場合は、そのガスを吸い込んで円盤を形成したり、強いX線などを放つため、間接的に存在を知ることができます。

(3)天の川銀河の中心部には、太陽の400万倍と言われる超大質量のブラックホールが存在すると考えられています。一説によると、天の川銀河には、普通サイズのブラックホールが4億個程度存在するとも言われています。

(4)同様に他の数多くの銀河でも、多数のブラックホールを内部に含んでいると考えられています。そしてその中心部には超大質量のブラックホールが存在する場合が多いようです。


4.ブラックホールの生成

(1)恒星は、生まれるときの重さでその一生が大きく変わります。ブラックホールは、非常に重い恒星が一生を終る時に出来ると言われています。

(2)太陽のおよそ30倍以上重い星の場合、核融合反応の燃料が尽きた時に超新星爆発を起こして、最後にブラックホールが形成されるようです。

(3)そしてブラックホール同士が衝突合体して、大きく成長すると考えられているようです。ただし、詳細はまだ解かっていません。


<私見> ブラックホール活用法!?

(1)日本では、原子力発電所の継続/廃棄が国論を2分していますね。その論点のひとつに、核廃棄物の処理方法が確立されていない点が挙げられています。

(2)私は、世界中の叡智を結集して核廃棄物の画期的な処理方法を開発すべきと思っています。必ずやらなければならないし、出来る筈と思っています。いま原子力発電所は、新興国を中心にして世界中で急速に増えつつあります。日本だけの問題ではないのです。

(3)しかし、たとえ画期的な核廃棄物の処理方法が開発できたとしても、100%完全に無害化処理するのは現実的には難しいでしょう。恐らく100万分の1程度は処理できずに、最終廃棄物として残ってしまい処分方法に悩むことでしょう。

(4)そこで、神を恐れぬ私の珍説です!!
ブラックホールを天然の「超強力ゴミ処理装置」と考えます。最後に残る100万分の1以下に凝縮した最終廃棄物を、宇宙船に乗せて近傍のブラックホールに誘導します。
技術的には難しくない筈です。天の川銀河にブラックホールが4億個も存在するのであれば、近傍のブラックホールをいくつか探して、最適なものを選択するだけです。

(5)宇宙船がブラックホールに近づくと、強力な重力に引寄せられて自動的に吸い込まれていきます。そしてブラックホールの境界面(事象の地平面)に近づくにつれて、重力によって時間の進み方が遅くなり外から見ると殆ど止まっているように見え、超低速でしか進まなくなります。

(6)そして、ついに境界面(事象の地平面)を超えると、もはや光さえ外に脱出できなくなって、宇宙線は外からは見えなくなります。そして宇宙線や格納容器は強力な重力によって粉々に分解されてしまい、最終的には放射性物質も素粒子レベルまで還元されていくのではと想像しています。

(7)ただし運搬対象は、最小限度に低減した最終廃棄物だけです。今刻々と発生している膨大な核廃棄物を全部ブラックホールに吸い込ませたら、多分神様からキツイお叱りを受けると思いますから!



<蛇足>

読者の方々から「科学の話は難しくて良く解からない」という反応を頂いています。ごもっともです!

冒頭にも記載しましたが、本メールマガジンは「解説」を目的にしていません。良く解かって頂こうと思っていません。科学が苦手な方は、斜め読み、拾い読みで結構です。そんな言葉があったのかと言葉を知って頂くだけで十分です。何となくイメージをつかんで頂ければ最高です。

例えば、相対性理論に関する解説本は、直ぐに入手できるものだけでも数十冊以上の本が出回っています。その中の2~3冊を読んで良く解かったと言える人は多くないと思います。数百ページ程度の解説を読んでもなかなか理解できないものです。ましてや、数ページのメールマガジンで理解できなくて当然と思います。

現代の科学(者)は、専門化、細分化、微視化の傾向があり、視野が狭くなってきているように感じています。本メールマガジンは、視野を出来るだけ大きく拡げようとしています。深く細かくではなく、広く浅くを志向しています。したがって細部にはあまりこだわりません。

第1章から第3章までは、最近の現代科学でどこまで解かってきたのか、何が解からないのか、何が不思議なのかを俯瞰して、不思議を少しでも減らしていく材料にしようと思っています。そして今は水と油のように分離している科学(物質)と非科学(心・気・いのち)を、できるだけ広い視野から関連づけることにより、宇宙のしくみを読み解いていこうと考えています。



# by jiriki-tachikawa | 2014-04-10 00:00 | 不思議メールマガジン

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