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[宇宙の不思議・いのちの不思議] 第29号

[宇宙の不思議・いのちの不思議] 第29号

第3章 生物の不思議

[3-6]  進化論の流れ

4.日本人による進化論

進化論には多くの日本人が関わり重要な貢献がなされています。日本人が提唱した主な進化論だけでも次のようなものがあります。

(1)ウイルス進化説
中原英臣と佐川峻は1971年「ウイルス進化説」を提唱しました。生物の設計書である遺伝子が変化することにより進化が起こりますが、ほとんどの進化論では遺伝子の変化は突然変異によって起こると考えています。これに対して、ウイルスが遺伝子を変化させることによって進化が起きるというのが「ウイルス進化説」です。
現在では遺伝子組換え技術が発達して、ある生物の遺伝子に別の生物の遺伝子を組み込むことで品種改良などを行っています。その際、人為的にウイルスを運び屋として利用して遺伝子を組み替えています。この遺伝子組換えが自然界でも起きると考えるのがウイルス進化説です。
ダーウィンの進化論以降、遺伝子は親から子にしか伝わらないと考えられてきましたが、ウイルス進化説では、個体から個体へ水平的にも移動し得ると考えます。ウイルスの感染は親子に限らないからです。さらに同じ種同士に限定する必要もなく、例えば、鳥からブタへ、ブタから人へなど異なる種の間でも遺伝子が運ばれます。ウイルスは遺伝子の運び屋でもあると考えているのです。ただし、他の進化論と同様に、ウイルス進化説にも様々な批判、反論があります。

(2)今西進化論
今西錦司(1902~1992)は、ダーウィン進化論の進化の単位は「個体」と考えているのに対して、「種」が進化の単位であるととらえて、「種」は変わるべきときがきたら変わるというマクロ的な考え方を唱えています。

(3)木村資生の中立進化論
木村資生(1924~1994)は、突然変異の大部分は生物にとって有利でも不利でもない中立的な変異であり、生物にとって有利な変異は無視できるほど少ないと考えました。したがって生物の進化も、その多くは適者生存による自然淘汰で起きるのではなく、むしろ中立的な変異の中で、たまたま幸運な変異が偶然拡がって定着することによって進化が生まれると主張しています。この説は現在のところ多くの科学者の支持を得ているようです。

(4)不均衡進化論 
古澤 満によって1988年に提唱された「不均衡進化論」は生物の多様性の謎を説明できる重要な理論です。
ダーウィン説のように、突然変異が無作為にランダムに起こるのであれば、変異率はほぼ一定なので時代によって大きく変化しない筈です。ところがこれではカンブリア紀の生物の大爆発が何故起ったのか説明できません。また隕石の落下や氷河期など環境の劇的な変化に遭遇した際に、変異率が平常より大きくならなければ、これほど多くの生物が生き延びてこられなかったと考えられています。
突然変異の変異率は一定ではなく、状況によって変化すると考え、その仕組みをDNAの複製メカニズムの不均衡にあるとするのが古澤満の「不均衡進化論」です。


なお、日本人の進化論として、浅間一男の成長遅滞説や大野乾の遺伝子重複説などもあります。


<補足>

古澤満の「不均衡進化論」は進化論における重要なポイントを見事に捉えていますので少々補足します。 

「ポイント1」

細胞が分裂して2つの細胞に分かれる場合、元のDNAが複製されて2つのDNAが生じます。今までは2つのどちら側にも全く同じ遺伝情報が伝えられると考えられていました。ところが、一つのDNAには元のDNAがそのままの形で保存されますが、もう一つではDNAに変異が起き易いように複製方法を変えていることが解かりました。一方だけ敢えて複雑でエラーの起き易い複製方法が取られているのです。

「ポイント2」
変異が起き易い側のDNAの変異率は可変であることが解かりました。酵素の働きを制御することで変異率が変化するため、生物が自分で変異率を変える事が可能になっているのです。


細胞分裂の際、この2つの作用によって、親と同じ細胞と、親と若干異なる細胞の2つが生まれ易くなり、多様性が生じることになります。
もし親と異なる方の細胞に問題があれば自然に消え去り、親と同じ細胞が存続することになります。すなわち安全パイを残したままで多様性を作り、環境変化への適合を試すことが出来るように巧妙に仕組まれています。

したがって下記が可能になります。
◎生物の今の形態が環境に適合している間は低い変異率で推移して敢えて大きな変化はしない。
◎環境が激変した場合は高い変異率で推移して、様々な変種を増やして適合可能性を高める。

一体誰がこんなに巧妙な仕組みを考えたのでしょうか?
私には偶然とは思えません。
なお、変異率をどのようにして変異させるのか、その仕組みは解かっていません。


5.進化論の論点

以上のように様々な進化論を概観してきましたが、全て仮説であり、どの進化論も問題点を内在しており総括的かつ完全な進化論はまだありません。
進化論は、生命の不思議を読み解くうえで極めて重要です。そして進化論を論ずる上で、大きな論点があります。

(1)進化は偶然の結果か? それとも必然か?
ダーウィンの進化論では、偶然の突然変異によって発生した変種が、生存競争と自然淘汰によって選択され遺伝すると考えています。(適者生存)
一方、偶然ではなく、ある目的に沿って進化すると考える進化論もあります。ラマルクの「用不用説」もその一つです。他にアイマーの「定向進化説」、今西錦司の「今西進化論」なども同様です。

(2)進化の単位は個体か? それとも種か?
ダーウィンの進化論では、突然変異によって個体が変化し、それが徐々に種の中に拡がっていくと考えます。そしてその拡がりのメカニズムの説明に苦労しています。
一方、今西進化論では、個体ではなく種が変化すると考えています。

(3)協調と共生
ダーウィンの進化論では、生存競争すなわち適者が非適者を打ち負かし、競争を勝ち抜いたものが生命を次世代に引き継ぐとしています。
しかし実際には、種の中の競争や、種と種の間の生存競争の例は多くはないようです。むしろお互いに協調し、助け合いをし、共に住み分けをして共生、共存している例の方が多くみられます。既に[3-2] 生物の戦略 6.食べ分けの不思議、8.共生 で一部の例を挙げました。
種の中の協調ならまだしも、異なる種間でも協調・共生が多数行われているのです。しかしそのメカニズムは解かっていません。

(4)進化の速度が時代によって異なるのは何故か?
ダーウィンの「突然変異」は、無作為かつランダムに変異が起きるというのですから、時代によって変わらずいつも同じ程度のDNAの変異率の筈です。しかしカンブリア大爆発のように、ある時期に極めて高い変異が発生するのは何故なのか説明できません。
既に述べたように古澤満の「不均衡進化論」は、DNAの複製メカニズムの不均衡を提起してこれを見事に説明しています。しかし変異率を制御する具体的な仕組みは解かっていません。


<私見>

遺伝子の変化は、偶然の突然変異だけで起きるのではないことが判ってきました。飢餓状態に置かれた細胞が頻繁に遺伝子を改変する事例が実際に見つかっています。環境によって遺伝子の変化が促進されるのです。これは古澤満の「不均衡進化論」を裏付けていると私は思っています。
  
私は、生物の進化は物質レベルの単純で機械的な法則だけで進化してきたのではないと考えています。ダーウィンやその他の進化論もそれぞれ一面を捉えていると思いますが、様々な要因が絡み合って複雑に進化してきたと考えています。

基本的には、偶然の突然変異だけではなく、ある目的に沿って進化を模索してきたと考えています。その目的のひとつは、何としても「生き延びる」ことです。生き延び、子孫に引き継ぐために、その環境下で生物にできる最大限の努力・変化を能動的に模索し積み重ねることです。努力が実った場合、その生物はより良き方向へ変化し、進化して生き延びます。

すなわち生物は、DNAや細胞など物質だけで構成されるのではなく、眼には見えない情報あるいは意志を伴っていると考えています。そう考えないとこれまで述べてきた膨大な不思議がほとんど解消されないのです。

DNAや遺伝子は、極めて単純化され要約された物質レベルの遺伝情報ですが、私はその背後に見えない情報(言わば生命体情報)がリンクしていると考えています。そしてこの情報が、日常の細胞分裂や成長を実質的に制御し、また環境や個別状況の変化に適宜対応します。もし環境の激変が起きた時は、生命体情報が総動員されて、あらゆる観点から変化・進化を模索すると考えています。
具体的には第5章「宇宙のしくみ」で私の仮説としてご紹介いたします。


 

第3章「生物の不思議」はここまでに留めたいと思います。生物の世界は、宇宙やミクロの世界に比べても不思議がさらに満ち満ちています。一言で言えば、現状の科学は生物の実体を調査している段階であり、生物の本質にはほとんど迫れていないと言って良いと思います。


次回は第4章に進みます。
第4章では、「いのちの不思議」を眺めていきます。





これまでの目次と号、発行月日を以下に掲げます。

   「宇宙の不思議・いのちの不思議」
      メールマガジン目次

 <目次>   <号>      <発行日>

はじめに    第1号      2014.1.02


第1章 宇宙の不思議

  
[1-1] 太陽系の姿        
第2号~第3号  2014.1.16~1.30
[1-2] 銀河の姿             
第4号      2014.2.13
[1-3] 銀河のなりたち        
第4号      2014.2.13
[1-4] 宇宙の姿           
第5号~第6号  2014.2.27~3.13
[1-5] 相対性理論         
第7号      2014.3.27
[1-6] ブラックホールの不思議    
第8号      2014.4.10
[1-7] 次元の不思議        
第9号      2014.4.24
[1-8] ダークマターの不思議   
第10号     2014.5.08
[1-9] ダークエネルギーの不思議 
第11号     2014.5.22


第2章 ミクロの世界の不思議

[2-1] 量子論とは?        
第12号     2014.6.05
[2-2] 物質の根源は?       
第13号     2014.6.19
[2-3] 素粒子の影武者        
第14号     2014.7.03
[2-4] 量子論のポイント       
第15号     2014.7.17
[2-5] 超ひも理論          
第16号     2014.7.31
[2-6] ミクロの世界の不思議    
第17号     2014.8.14


第3章 生物の不思議

[3-1] 生物の多様性        
第18号~第19号 2014.8.28~9.11
[3-2] 生物の戦略        
第20号~第21号 2014.9.25~10.09
[3-3] 小さな変わり者        
第22号~第23号 2014.10.23~11.06
[3-6] 生物とは何か?       
第24号~第25号 2014.11.20~12.04
[3-8] DNAと遺伝       
第26号~第27号 2014.12.18~2015.1.1
[3-10] 進化論の流れ       
第28号~第29号 2015.1.15~1.29


第4章 いのちの不思議

第5章 宇宙のしくみ <仮説>

第6章 タイトル未定

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by jiriki-tachikawa | 2015-01-29 00:00 | 不思議メールマガジン

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